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石を巡る探訪記。「ラピュタの壁」がある有名な石切り場、鋸山に行ってきました。-前編

季節はもうすっかり秋だというのに、台風続きで「さわやかな秋晴れ」がなかなか少ない今日このごろです。
続いている台風の被害に遭われた皆さまに、お見舞い申し上げます。
今日は久しぶりの晴天ですが、また今週週末に台風22号が近づいていますので、今後の台風情報には十分お気をつけください。
さてしばらくお休みしていた石を巡る探訪記。
今回の舞台は、千葉県の鋸山のこぎりやまにある房州石の石切場です。
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鋸山のこぎりやまは、房総半島の南部に位置し、標高は329メートルながらも山頂からの眺望は素晴らしく、東京湾などを見渡すことができます。正式な名称は乾坤山けんこんざんですが、山肌の岩が露出している状況が「のこぎりの歯」に見えることから鋸山のこぎりやまと呼ばれているとか。

この露出した岩肌こそ、古くからこの山が良質な石材を産出、石切り場として採石された跡なのです。

Google Mapに「ラピュタの壁」と表示?

鋸山のこぎりやまの石切り場ですが、あの有名な宮崎駿監督のジブリ映画「天空の城ラピュタ」に出てくる風景のようだと、話題の場所とか!

そんな神秘的な場所が千葉県という比較的近い場所にあるとは。

さっそく行ってみたいと、事前調査のため小野石材店屈指の知恵袋であるお墓ディレクター1級の照山に聞いてみました。

上質な「房州石」の石切り場、鋸山のこぎりやま

解答者の写真
照山本部長。千葉県の鋸山に神秘的な石切り場があると聞いたのですが!

質問者の写真
房州石が切り出された鋸山だね。房州石は軟らかくて火に強い特徴があり、東京の台場(砲台)や、埼玉県の草加煎餅の窯といった実用的な用途で使われていることが確認されているほか、県内外の建築物(靖国神社や早稲田大学など)で見つかっており、学術的に注目が集まっているんだ。日本の近代化をインフラや建築面で幅広く支えてきた歴史を持つ石だよ。

解答者の写真
さすがあの村田部長でさえ、たった1点の壁で合格できなかった(その前年は2点w)超難関のお墓ディレクター1級を保持している照山本部長ですね!

質問者の写真
わきゃねーこんだ。(茨城弁:訳ないことだ)
とはいえ、村田部長も去年は、腰が折れて目が見えず、カバンにはクンナム(インド産の黒御影石→重い)を入れての受験だったんだ。
(参考:大自然を駆け抜ける!まだ間に合うスリーピークス八ケ岳トレイルのエントリー!オノセキ男子と一緒に走りませんか?
今年はハンディはないからきっと受かるはずだ!

解答者の写真

質問者の写真
それよりも千葉県の房州石は、江戸末期安政年間に伊豆の石切職人によって始まったと言われている。明治時代には大量に稼行され、京浜方面へ盛んに移出された。しかし大正時代になるとセメントに、戦後には大谷石にとって変わられ、昭和50年代には採石されなくなった。そもそも房州石は、新第三紀層産の建築石材として、ウンタラカンタラ…。日本列島に広く堆積している新第三紀層の凝灰岩や凝灰質砂岩は、柔らかくて整形し易く、耐火性があるので、家屋や土蔵の塀、壁、門柱などの建築石材としてウンタラカンタラ…。
地質百景さんより引用

解答者の写真
は、はあ…。(いや、そこまで求めてません…(汗))

質問者の写真
さすが豊富な知識で、営業部のみんなを引っ張る照山本部長だ。しかし、照山本部長も最初から石の知識が豊富だったわけではないよ。
雨垂れ石を穿つあまだれいしをうがつことが大事なんだ。

解答者の写真
あ! これは社長。今日もスタイリッシュで、イケメンぶりが隠しても隠しきれなく、そのうえペラペラペラ…ウンタラカンタラ…。モミモミ(←手を揉む音)
…、ところで、えっと…、よだれを…うがいする? …って何のことですか?

質問者の写真
ごじゃっぺやってんじゃねぇかんな!みしみし聞かんと。(茨城弁:いい加減なこと言ってるんじゃない!真剣に聞きなさい。)

解答者の写真
す、すいません!

質問者の写真
雨垂れ石を穿つ とは、軒下から落ちるわずかな雨垂れでも、長い間同じ所に落ち続ければ、ついには硬い石に穴をあける意味から、根気よく続けていればいつか成果が得られるということのたとえだよ。

質問者の写真
そのとおり。
ただ悪気があったわけではないんだよ。先日奥さんと夜中にケンカして勢い良く家を飛び出したものの、わずか5分後に偶然パトカーに止められて職務質問されて心が折れてしまい、すぐ帰宅して奥さんに謝った(実話:もちろん職務質問されただけで、何も問題はありません)ことがあったから、精神的に弱っているんだよね?

解答者の写真
な、な、な、なんでそんな秘密をっ!?

質問者の写真
小野石材店で働いてもらっている社員さんは、私にとって大切な家族のようなものだよ。隠し事はできないよ(笑)
奥さんには私からも謝っておくから、心配せずに石の勉強をしてきなさい。

質問者の写真
んだ、んだ。(茨城弁:そうだ、そうだ。)

解答者の写真
は、はい、職務質問されないように行ってきます!


※コミカルな会話の演出のため、方言の過剰な使い方をしています。ご了承ください。


そんなこんなで行ってきました房州半島。

夜中の首都高を駆け抜け、海ほたるへ

私の探訪記の基本は、夜討ち朝駆けw
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写真撮影のために深夜のうちに出かけ、朝方人の少ない時間帯に到着することを目標にします。
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途中、これも最近有名になった江川海岸にて。
最近「インスタ映え」などという言葉が流行するとおり、こうした写真スポットに大勢の人が訪れるそうです。中にはマナーの悪さも目立つようで、私も写真を撮影する関係上他人事ではなく、その場所のルールの遵守や人に迷惑をかけないよう気をつけないといけません。
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そして遂に目的地、鋸山のこぎりやまに到着。

採石の跡であろう特徴的な岩肌は、まさにのこぎりの歯のよう。

6年の歳月をかけて彫刻された、百尺観音

登山道を登っていくと日本寺にほんじの境内に到着します。
まずそこで見たのは百尺観音。
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世界戦争戦死病没殉難者供養と交通犠牲者供養のために発願され、昭和35年から6年の歳月をかけて昭和41年にかつての石切場跡に彫刻が完成。
航海、航空、陸上交通の安全を守る本尊として崇めらているそうです。(日本寺HPより)
近くで見るとすごい迫力です。
どうやって彫っていったのでしょうか。

この場所もかつての石切り場。多くの石切りの職人たちがここで活躍したのでしょう。歴史と想いを感じます。

由緒ある古刹、日本寺にほんじの大仏は鎌倉の大仏の2倍以上の大きさ!

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日本寺にほんじは、725年(神亀2年)に聖武天皇の勅詔により、行基によって開かれた古刹とされています。大変歴史のあるお寺です。
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日本寺にほんじの大仏「薬師瑠璃光如来」は、総高31.05m・御丈21.3m。日本一大きい大仏です。
(鎌倉高徳院の阿弥陀如来は総高13.35m、奈良東大寺の盧舎那大仏は総高18.18m)
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写真右側にある軽トラックを見ると、その大きさがわかります。

上総桜井(現・木更津市)の名工・大野甚五郎英令が生涯をかけて彫刻した千五百羅漢

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境内には大野甚五郎英令が21年間、門徒27人とともに生涯をかけて1,553体を彫刻した石仏「東海千五百羅漢」も安置されています。

世界第一の羅漢霊場とも。

[後編に続きます]

次回はいよいよ「石切り職人の芸術」とも言える、鋸山のこぎりやまの石切り場へ

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石を巡る探訪記、鋸山のこぎりやま編。
次回はいよいよ石切り場の記事となります。

お楽しみに!(^^)

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