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圧倒的な石の存在感。古代からの建築と作庭の工法を再現、現代的に磨きをかけた江之浦測候所。[中編]〜石を巡る探訪記
先日2月4日(月)は立春でした。
立春は
「春」という文字が含まれていることから、気温が穏やかな日の訪れを想像してしまいますが、実際には「気温の底はピークを過ぎ、徐々に春めいた気温や天気に変わっていく」ということなので、まだまだ寒い日は続きます。(^^)
とはいえ、先日2月4日の立春の日は、20度近くにも気温が上昇し、一気に春が来たような陽気となりましたが、翌日には10度以上下がるなど、気温の変化が激しくなっています。
インフルエンザなども流行っておりますので、お体には気をつけてお過ごしください!
反響の大きかった江之浦測候所の続編です!
前回、前編を公開して反響の大きかった
有り難いことに「続編の公開はまだ?」というお声も届いております。
ようやく続編を公開できます。お待たせして申し訳ございません!(^^)
前編をまだご覧になってない方がいらっしゃいましたらぜひこの機会に!
圧倒的な石の存在感。古代からの建築と作庭の工法を再現、現代的に磨きをかけた江之浦測候所。[前編]
〜石を巡る探訪記
[小野石材店 公式サイト]
施設内の紹介は、訪れた際にいただいたガイドブック(施設概要)に沿ってご紹介いたします。写真に対する説明文は、
(※ウェブ媒体の特性上、読みやすいよう難しい漢字をひらがなにしたり、長文の場面は略しています。)
明月門
▲
大正12年の関東大震災で半壊し、数寄屋建築家で茶人でもあった
仰木魯堂 に引き取られ解体保存された。その後馬越恭平 の六本木邸宅の正門として、仰木魯堂により再建された。
昭和20年米軍の爆撃で被災し、唯一この明月門のみが焼け残り、根津家(根津嘉一郎)に寄贈、後に根津美術館正門として使用された。平成18年、根津美術館より小田原文化財団に寄贈され、小田原文化財団正門として解体修理され再建された。
建築様式としては室町期の禅宗様式の形を良く残し、躯体 の多くの部材が創建材として残されている。
石舞台
▲ この石舞台は能舞台の寸法を基本として計画された。
我が国の芸能の起源は古く、アメノウズメノミコトが、隠れてしまった
天照大御神 を誘い出すために舞ったとされる天の岩戸伝説にまで遡 る。
素材としての石は当地を開発し地盤を整備したさいに出土したおびただしい数の転石を主に使用した。近在には根府川石丁場、小松石丁場がある。
舞台四隅の隅石 には近隣の早川石丁場跡から発掘された、江戸城石垣のための巨石を配している。その鑿痕 から江戸初期に切り出され、江戸城初期計画が完成されたため、放置された石材と思われる。舞台の橋掛 りには23トンの巨石を据えた。この石は福島県川内村の滝根石で、岩盤から剥がされた状態で見つかった。
さまざまな場所に建築の技巧を見ることができます。
この
光学硝子舞台と古代ローマ円形劇場写し観客席
▲ 冬至の軸線に沿って、
懸造 りは京都清水寺の舞台、鳥取の三徳山文殊堂などが知られる。冬至の朝、硝子の小口には陽光が差し込み輝くのが見える。観客席はイタリア、ラツィオ州のフェレント古代ローマ円形劇場遺跡を実測し再現した。
この客席からは硝子の舞台が水面に浮いているように見える。
三角塚
海に向かった三角形の舞台の頂点は春分秋分時の正午の太陽の方角を指している。このとき太陽は子午線を通過する。
根府川石を組む過程で古墳のような石室空間が現れたため、実際に古墳石室に使われた石と石棺の一部を内部に収めた。
冬至光遥拝隧道
▲ 冬至の朝、相模湾から昇る陽光は70メートルの
一年で最も日照の短い日。冬至は一年の終点でありまた起点である。この特別な一日は、巡り来る死と再生の節目として世界各地の古代文明で祀られてきた。
日が昇り季節が巡り来ることを意識化し得たことが、人類が意識を持ち得たきっかけとなった。この「人の最も古い記憶」を現代人の脳裏に蘇らせるために、当施設は構想された。
冬至の日には、ここから日の出が昇るのを見れ、陽光が
旧奈良屋門
▲ 箱根宮ノ下にあった名旅館「奈良屋」の別邸に至る門。
平成13年の廃業に伴い箱根町より小田原文化財団に寄贈された。関東大震災後の大正~昭和初期の建築と思われる。戦後、日本国憲法草案の一部が近衛文麿、佐々木惣一によりこの旅館で書かれた。その後この別邸は岸信介元首相の夏の別荘として使用された。また門の巨大な踏込石は、大阪府箕面にあった旧笹川良一邸から移築された。
茶室「雨聴天」
▲ 茶室「雨聴天」は千利休作と伝えられる「
本歌取りとは古典を引用しつつ新作にその
精髄 を転化させる手法を言う。「待庵 」は利休の目指した侘び茶の一つの完成形と目されている。
利休が今の世にいたら使ったであろう素材、私はそれを錆 びたトタンと見做 したのだ。天から降る雨がトタンに響く音を聴く。この茶室は「雨聴天 」と命名された。茶室の躙口 には春分秋分の陽光が日の出とともに躙口 から差し込む。その時、躙口 前に置かれた光学硝子の沓 脱ぎ石は光を受けて眩 く輝く。
夏至光遥拝100メートルギャラリー
▲ 海抜100メートル地点に100メートルのギャラリーを建設。
100メートルの構造壁は大谷石の自然剥離肌に覆われ、対面の
硝子窓 は柱の支え無しに硝子板
が37枚自立している。
屋根は軽量化を図った片持ちの屋根で、ギャラリー先端部の12メートルは海に向かって持ち出しとなって展望スペースが併設される。
夏至の朝、海から昇る太陽光はこの空間を数分間に渡って駆け抜ける。
申し訳ございません!さらに続きます!
この記事をご覧になってみてもわかるとおり、この施設の持つ魅力、ボリュームは一度、二度のブログでは伝えきれません(汗)
施設内にあるもの一つ一つに歴史が、物語があり、特に「石」の存在感を強烈に感じる場所です。
古代より、神が宿るものとして尊ばれた「石」。
引用させていただいた杉本博司氏の文章を読むと、それぞれの歴史が凄すぎてこの記事をまとめている私自身も改めて驚かされます。
日本各地で産出された石。そしてその歴史。
一見するとつながりのない、場所も歴史もバラバラなモノが、杉本博司氏の手によって見事に調和し、その存在を輝かせています。
石屋の枠にとらわれず、建築やデザイン、美術に関心のある方は必見の場所です。建築や美術に関心がそれほどないという方でも、日常生活で忘れてしまった「見る」という行為が体験・再認識できる、一度は訪れてほしい場所です。
今回施設を訪れたさいにいただいたガイドブック(杉本博司氏の言葉)から、施設内の案内を引用させていただきました。
杉本博司氏の伝えたいことをできる限り曲げないように引用させていただいたつもりですが、この記事に書かれていることだけで判断せず、ぜひ一度訪れて施設を体験して欲しいと思います(^^)
(もちろん全文の記載は多くてできませんし、この施設の
ということで、江之浦測候所は次回「完結編」にまた続きます!
お楽しみに。(^o^)
小田原文化財団 江之浦測候所
- 所在地:神奈川県小田原市江之浦362番地1
- 完全予約制:公式サイトより購入可
- 開館日:公式サイトをご確認ください。
- 休館日:火曜日・水曜日、年末年始および臨時休館日
- 入館料:3,000円(当日券:3,500円)
- 公式サイト:https://www.odawara-af.com/ja/
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